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母の一年忌を終えて
2022/01/22
以前の若女将のひとり言で、亡き母の事で私が感じた事をお伝え出来たらという話を書かせて頂きました。そこで昨年の12月に母の一年忌をさせてもらった時のお話をさせて頂きます。
一年忌を迎えるにあたり、私は母への気持ちを整理したいと思いました。そしてお集り頂いた方々にその気持ちを伝えることで、このひと時だけでも母の事を想ってもらえたら、母も喜んでもらえるかなと思い、母への気持ちなどをまとめ、読ませてもらいました。

『母が亡くなり一年が経とうとしております。私は元気だった頃の母のとの思い出が強く、そして慰霊の母の微笑みにいつも励まされます。しかし最近ではアルツハイマーを患った数年間の母の事も決して忘れたり、目を背けてはいけないと思えるようになりました。あの時の母の言葉や行動を一つ一つ理解することが、最後傍で色々してあげられなった母へ、少しでも心を寄せる事になるかと思うからです。
アルツハイマーという病気を知らされた時、心に黒い雲が立ち込め、何をしていても気持ちが晴れませんでした。今までのような生活を母と送ることのできなくなる不安に気持ちが押しつぶされそうになりました。母はというと、アルツハイマーという病気は、見知らぬ国で言葉も何もわからず一人残されたような、大きな不安に襲われる病だそうで、きっと初期の頃は分からないことが少しずつ増え、誰にも言えず、不安を抱えながら生活していたのではないかと、あの頃の母の様子を思い出すと胸が痛みます。もっと寄り添ってあげればよかった、優しい声を掛けてあげれば良かったと反省するばかりです。私には足りなかった事ですが、病気に対する知識を持つことはそばに居るものにとってとても大切な事と思います。
亡くなるまでの数年間、大好きな四万温泉と家族からを離れて過ごさなくてはならなかった分、今母は天国で先に待っている大切な家族と明るく過ごしていることを心から願っています。
この一年で旅館にいらしたお客様から「女将さん見かけないけど元気?」「女将さんには良くしていただいたのですよ。懐かしいな。」「女将さんがいなくて寂しいです」などと母を想って下さる言葉を多くかけて頂きました。女将として母なりに頑張って来たのだと、誇りに感じ、私も努力せねばと思っております。』
アルツハイマーを患い、辛い記憶も確かにあるけど、それも含めて母から教わった事を私の宝としていきたいです。